【協同ネット通信 No.85 ② 現場レポート】学習センター

学習センターでは、毎年3月に3泊4日のスキー合宿を行っています。今回はそのスキー合宿の様子をお伝えしようと思います。

学習センターのスキー合宿はただ単にスキーをするだけではありません。小学生から高校生までが一緒に参加する異年齢の取り組みであり、4日間で「交流会」「運動会」「収穫祭」といった様々な取り組みを行っています。初めて参加するメンバーでも合宿を通して交流していけるように初日の夜に「交流会」を行い、3日目には雪上でしかできないプログラムを取り入れた「運動会」を行います。参加したメンバーたちが楽しんで帰ってもらえるプログラムを目指して試行錯誤しています。また、スキー合宿ではスタッフと高校生が一緒に「高校生ミーティング」を行っています。スタッフだけで合宿をつくっていくことは難しく、小学生や中学生と年の近い高校生の力を借りながら合宿づくりをしています。最初は自分たちが楽しむことを考えていた高校生たちも次第に小さい子どもたちの様子を気にかけてくれるようになっていき、年下から慕われる嬉しさややり甲斐が高校生たちの楽しさへと変わっていきます。そして、小さい子どもたちの高校生に対する見方もかっこよく、憧れる存在へと変わっていきます。そうした体験が下の世代へと受け継がれていくことがスキー合宿の面白さでもあります。

そんなスキー合宿も新型コロナウィルスの感染拡大に伴って4年間活動ができない期間がありました。長らく続けてきた活動が出来ない期間はとてももどかしい日々でしたが、再開した頃から新たな変化が生まれました。それまで学習センターの子どもたちの活動と位置付けられていたスキー合宿にフリースペース・コスモのメンバーが参加するようになりました。

「学校に行っているかどうか」という目に見えない壁によって、これまで一緒にプログラムに参加することが難しかった学習センターとコスモのメンバーたちがスキー合宿を接点に交流が生まれ始めました。最初は「一緒に交流会ができるんだろうか」「部屋で揉めたりしないだろうか」といった不安もありましたが、交流会や運動会を一緒に行う中で徐々に距離が縮まっていったように感じています。参加したメンバーが楽しかった体験を他のメンバーに伝えてくれるため参加者のメンバーも徐々に増えてきていて、昨年度(2025年3月)のスキー合宿では約半数がコスモのメンバーでした。

学習センターに通っている子どもたちも学校に対して様々な不安や不満を抱えて悩んでいますし、コスモのメンバーたちだって勉強に対して不安を抱えています。スキー合宿という共通体験を経て、今では、日々の学習センターの学習活動にも一緒に参加するコスモのメンバーたちがいます。学校に行っているかどうかは関係なく、一緒に学ぶ仲間としての関係性が生まれてきています。

(文・かねこ しょうた)

※この記事は、当団体が発行している広報誌「協同ネット通信」No.85に掲載された内容をWeb用に再編集したものです。