【協同ネット通信 No.85 ③ 現場レポート】さがみはら

昨年2024年に、さがみはら若者サポートステーション(以下、サポステ)は開設15周年を迎えました。これまでの活動を振り返るとともに、新しい地域とのつながりを作るために15周年記念フォーラムを開催しました。

フォーラムでは、サポステと特につながりのある橋本商店街協同組合の事務局・上田さんと株式会社つきよ、の代表・滝柳さんに登壇していただき、商店街や企業で若者を受け入れる意味合いや想いを語っていただきました。また、サポステを経て地域の中で活躍する若者2名にも、地域とともに生きていくことなどを語ってもらいました。

橋本商店街協同組合では、2014年から週3日程度、1〜3ヶ月間の職場体験を受け入れていただいて、これまで36名の若者が商店街の職場体験に参加しています。商店街の上田さんは「受け入れ当初はひきこもり=よく分からないイメージだったが、住む人が楽しい街を商店街の方針にするならば、心に傷を持つ若者の理解も必要と考えて、職場体験を受け入れてきました。職場体験を経験した若者が『こんなに温かい社会があるのを知らなかった』と話すように、受け入れた商店街側も若者の一生懸命な姿に大きなギャップを覚えました」と語ります。商店街の若者理解が深まったことで、職場体験を経た若者が地元企業で働いたり、ボランティアとして商店街で活動したりと、職場体験後も地域とつながり続けているということからも、若者が地域の中で活躍する場が増えています。

職場体験を経て、継続して商店街のボランティアに関わっている若者の一人は「ひきこもっている時は、自分の幻想の中にいるから、周りはすごく偉くて、自分はダメで無価値な存在と思っていた。職場体験で色々な人と出会い、話をする中で、人って全部が完璧ではなく、意外に抜けている部分や全然できない部分もある。上下関係だけが人との関わりではないと感じました。サポステや商店街での人との関りを通じて、世界は変化していないけれど、自分自身の息がしやすい場所が増えました」と語ってくれました。地域に受け入れられることで若者自身も考え方や感じ方が少しずつ変化しています。

若者と地域が顔の見える関係でつながり、出会いと対話を通じてお互いの理解を育み、ともに生きる協同体となっていくことが大切だと感じました。フォーラムを経て、新たな地元企業とのつながりも生まれ、地域に支えられていることを再確認し、今後も一層、地域と若者がともに支え合える「さがみはら」を目指していきます。

(文・だんむら さえこ)

※この記事は、当団体が発行している広報誌「協同ネット通信」No.85に掲載された内容をWeb用に再編集したものです。